2013年3月21日木曜日

授業で大切なこと

 昨日今日と、学生達のために研究授業をしました。前に一度、先生達の研修会にて授業をしたのと、その事前にも1度授業をさせてもらったので、これで計4回エクアドルの子ども達に算数の授業をしたことになります。

 計4回の授業を通して痛感したのは、授業をする上で、いかに子ども達との関係が大切かということです。なかなか授業がうまくいかない一番の原因は、もちろん言葉です。私の指示は一度じゃ理解してもらえないし、子ども達の意見を生かして授業を進めたくっても、子ども達の言ってることがよくわかんないし、本当にもどかしい!!

 でも、次に大きな原因は、言葉以外で子ども達に私の意図をなかなかくみとってもらえないこと。毎日6時間も一緒に授業をしていたら、担任しているクラスの子ども達は、多少私の言葉が足りなくっても、私が望んでいることを感じとってくれるんです。でも、毎日授業をするわけではない、エクアドルの子ども達とは、それができません。1から10まで説明しなきゃいけないし、それでも不十分。だから、ものすごく時間がかかります。

 日本で教員をしていた6年間、毎年研究授業をやりました。毎回緊張して、不安だったけど、なんとかなっていたのは、子ども達のおかげだったんだな。子どもたちに助けられていたんだなぁ。今しみじみ感じます。過去6年間の教え子たち全員に、お礼を言いたい気分です!!!!

 前に、医療系の隊員とも話していたんだけど、現場を離れてもうすぐ1年、技術面は確実に落ちてます。1日中大きい声を出し続けたり、瞬間的に間違いを探しながらテストの丸つけをしたり、もうできなくなってるかもしれません。でも、毎日慌ただしく走り続けていた日々では気づけなかったことに、気づけることもあります。今日の気づきもそのひとつ。そして、私はやっぱり授業が好きなんだなぁ、つまりは、この仕事が好きなんだなぁってことにも、気づくことができました。日本で働いているより、時間の余裕がある分、今までの自分を見直すことができました。

 「授業がなかなかうまくいかないなあ」
という私に、カルメンは、

 「言葉はしょうがないわよ。それより私は、学生たちに授業のプロセスを見てもらいたいの。」

と言ってくれました。そりゃそうだ!言葉にハンデがあるんだから、日本でやるのと全く同じように授業が進められないのは当たり前。でも、エクアドルでの「先生が一方的にしゃべって、一部の子どもしか参加できない」授業じゃない授業のやり方を伝えていくのが私の役目。学生たちにわかってもらえるように頑張ります。


 

2013年3月19日火曜日

残りあと1年

 昨日、ちょうど1年先輩にあたる、23年度1次隊の現職教員隊員のみなさんが帰国しました。わたしの帰国予定日は、来年3月19日です。ということは、今日で残りあと1年となりました。これまで、「エクアドルに来て○か月」ってカウントしていたのが、これからは「エクアドルにいられるのはあと○か月」って、カウントダウンになりそうです。

 ここ数か月、ちょっと中だるみっていうか、積極性がなくなってきている気がします。スペイン語に関しても、人間関係に関しても。「まだ1年以上ある」っていう気持ちからかもしれません。この生活に慣れてきて、今ここにいることが当たり前のような気になってきています。でも、よくよく思い返したら、ここに来るまでには、長い長い道のりがありました。それを忘れちゃいけないな、と今日ぼんやりバスに乗りながら考えました。

 まだ、学生や先生たちに、算数の教え方について伝えていないことがいっぱいあります。これまでは、カルメンの計画にのっかっているだけだったけど、そろそろ自分でも動かなきゃいけないな。遠慮をしている場合ではありません。だって、残りあと1年しかないんだから!

 明日は、学生のために3年生の子ども達と研究授業をします。学生たちの前で授業をするのも、3年生の子ども達に授業をするのも初めてです。学生たちの見本になるような、子ども達に楽しんでもらえるような授業ができますように!!

キト市内で、JICAボランティア写真展が開かれました。
私の活動の様子が、写真パネルになりました!


リオバンバのジュース屋さんで、向井理さんと。
2011年末、向井理さんがエクアドルの氷取り職人に会いに行くドキュメンタリー番組で、初めてエクアドルの映像を見ました。このおじさんにも会ってみたいな。


 

2013年3月13日水曜日

新しいパパ決定

 今日のトップニュースは、「新しいパパが決まった!」ことです。「パパ」と言っても、父親のことではありません。カトリック司教のことです。新しいローマ教皇がコンクラーベという選挙で決まったのです。

 コンクラーベについて、私は最近まで全く知りませんでした。前回は2005年だったそうですが、まったく記憶にありません。日本では、そんなに大きく取り上げられなかったのかな。それとも、私がニュースを知らなかっただけなのか。2か月ほど前、トム・ハンクスによって映画化もされた、ダン・ブラウン作「天使と悪魔」を読みました。初めてコンクラーベのことを知った2か月後、それが本当に行われることとなり、私の中では、すっごくタイムリー!コンクラーベの詳しい説明は、長くなるので省きますが、なかなか興味深いシステムだと思います。

 前ローマ教皇が退位を表明してから、お昼のニュースでは毎日コンクラーベのことが取り上げられていました。エクアドルは、人口の80パーセントがカトリック教徒なのです。関心は高いです。

 そして今日、食堂に行って、ちょうど席についたとき!いつもニュースを流しているテレビが、同じ画面から動かなくなりました。ん?なんだ?そして「白い煙」の映像が流れました。つまり教皇が決定したのです!!

 同僚たちも、
「新しい教皇が決まった!」
と騒ぎだしました。でも、この時点では、まだ誰に決まったのかまではわかりません。同僚の一人は、「ブラジルかドイツの枢機卿が有力なんだ。もし、ブラジルの枢機卿に決まれば、ラテンアメリカ初の教皇だ。」と言っていましたが、のちに発表されたのは、アルゼンチンの枢機卿でした。どっちみち、史上初ラテンアメリカ出身の教皇でした。

 このカトリック的大ニュース、日本にいたらスルーしてしまったかもしれないけれど、ちょうどカトリックの国にいたので、身近に感じることができました。テレビだけど、歴史的瞬間に立ち会えました!!

2013年3月11日月曜日

あれから2年

 3月11日。時差があるから、ほんとうは3月10日だったんだけど、やっぱり日付が3.11になると思い出します。この日は、日本人1人1人に、「地震が起こった瞬間何をしていたか」の物語があります。その瞬間どこで何をしていたかが、生死を分けてしまった瞬間です。

 2年前の3月11日午後2時46分。私は、3年2組の子ども達と教室にいました。確か6時間目でテスト中だったはず。いきなり揺れだして、子ども達に「机の下に入りなさい!。」と言い、自分は教員用のヘルメットをかぶり、とりあえず教室のドアを開けておかなきゃ!!ってドアを抑えていたことをよく覚えています。そして、子ども達を校庭まで誘導し、保護者に引き渡しながら、「これは訓練じゃないんだ。現実なんだ・・・。」って考えていました。

 地震も怖かったけど、その後お店から食料品や日用品が消えたこと、節電で街が暗くなったこと、電車の本数が減って、通勤がパニックだったこと(私は自転車通勤だったから影響なかったけど)・・・。もちろん、東北の方たちに比べれば、とても苦労なんて言えないことだけど、それでも「明日どうなるかわからない」って不安で不安でしょうがなかったなぁ。

 今日、夕食時にパパが、
「今日で地震から2年だね。」
と言い出してびっくり!震源地は東北だけど、東京でもかなり揺れて怖かったこと、テレビで津波の映像をみて、これが映画じゃなくって現実だなんて・・・と唖然としたこと、そして今でも避難生活を送っている人がたくさんいることなどを話しました。

 ここエクアドルでも、地震はあります。活火山があるので。なのに、「避難訓練」というものがありません。同僚たちは笑いながら、「もし大地震が起こったら、私たちどうしていいかわからないのよ。カズノ、そうなったらどうしたらいいのか教えてね。」と言います。そんなのん気な!!とりあえず、身近な人たちだけでも伝えていかなきゃ。

2013年3月9日土曜日

時間についての考え方のちがい

 昨日、また研修会を開きました。先生達に対する研修会は今日で3回目。でも、今までとはちょっと違うのは、今回は私以外の、エクアドルで算数教育に関わっている先輩隊員のみなさんにもご協力いただいたことです。会場は、JICAがとってくれたホテルのホール。約120名の参加者を迎えての、大規模な研修会になりました。

 今までの2回の研修会は、会場は職場だし、私は自分の担当するパートだけ責任もってやればいーやーと、自分の出番以外は、写真をとったり参加者としゃべったり、気楽なものでした。だけど今回は、先輩隊員のみなさんとの調整も担っていたので、何かトラブルがあったらどうしよう・・・と最初から最後までハラハラしどおしの1日でした。でも、もともとノリがいいエクアドルの先生達と、先輩隊員方の連携プレーのおかげで、充実した研修会となりました。あ~よかった~!
私のプレゼン。授業観察を通して気づいたこと。
人前でスペイン語を話すことには慣れてはきたけど、きっとスペイン語ぐちゃぐちゃです。

先輩隊員の紹介する教材を作る参加者たち。
みんな真剣。

学生も参加してくれました。

先輩隊員の紹介する数のゲームをする参加者たち。
みんなノリノリです。

 研修会を重ねるごとに、どうしても気になってしまうこと。それは、「時間」です。時間の認識が、日本人とエクアドル人とじゃ全然違うことに、毎回びっくりしてしまいます。

 たとえば・・・当日の集合時刻。研修会は8時開始なので、JICAスタッフとの間で、朝7時15分集合と決まっていました。私は、バスが予想以上に早く到着したため、朝7時5分にはホテルに着いてしまいました。ロビーで待っているうちに、先輩隊員2名が到着。JICAスタッフも、7時15分ごろ到着しました。でも、肝心の私の同僚2人が来ない・・・。まあ、まだ時間があるから大丈夫でしょう!先に、先輩隊員たちと当日配る資料をセッティングしたりして待ちます。早い参加者はもう到着しています。なのに、主催者がまだ来ない!!結局、到着したのは7時45分でした。なんだかんだと言い訳していましたが、それにしたって・・・。

 その後、参加者の集まりが悪いので、開始を10分ほど遅らせます。10時55分、コーヒーブレークに。予定では30分でしたが、時間がおしているので20分に。カルメンは、「時間厳守で!11時15分には戻ってきてください!!」20分後・・・ホールはガラガラ。誰も戻ってきません。カルメンでさえ!!!あわててカルメンを探しに行き、

「カルメン、もう11時20分だよ!」
「あら、もうそんな時間??」

 自分で、時間厳守っていったんじゃな~い!!

 これは、別に今日に限ったことではありません。いつものことです。そして、エクアドルではごく普通のことです。だから、ハラハライライラしているのは私だけで、あとの人たちは待たすことにも、待たされることにも、全く気にしていない様子。

 よく、「日本人はプンチュアル(時間通り)ね。」って言われます。私にとって、そして多くの日本人にとっては、時間を守ることはマナーであり、常識です。時間にルーズだと、ほかの人からの信頼を失うことになってしまうからです。どうしてこうなったんだろう??やっぱり、小学校のころから、時間の大切さを教えられてきたからでしょう。全校朝会に遅れたら怒られたし、休み時間のチャイムが鳴っても戻ってこなかったら怒られたし。さらに、中学校では「5分前行動」をたたきこまれました。教員になってからは、子ども達に「遅れてくる人を待っていると、ほかの人たちの貴重な時間が無駄になる!」って言い続けてきました。 

 一方で、エクアドルの時間の考え方でいくと、ちょっと気が楽です。パーティーの開始時刻にちょっとくらい遅れても、誰も文句は言いません。たとえドタキャンしても、「しょうがないわね。」って感じです。
 
 エクアドル在住の日本人の方から、以前こんなお話を聞きました。

「日本って、信頼で成り立っている社会でしょ。でも、エクアドルは不信頼で成り立っている社会なのよ。」

 なるほど!「相手も時間を守るだろう」という信頼で成り立っている日本の社会、「相手も時間を守らないだろう」という不信頼で成り立っているエクアドル社会。どちらも、社会としては成り立っているから不思議です。

 きっと、エクアドル人が日本で生活したら、息苦しくなってしまうことだと思います。結局は、どっちの方が生きやすいのかな?

2013年3月3日日曜日

エクアドルでマラソンデビュー

今日、エクアドルでマラソン大会に参加してきました!!マラソンは、エクアドルの大人気スポーツです。毎週末のように、マラソン大会が開かれているし、公園は朝、夕とジョギングしている人がいっぱいいます。他の隊員さんも、マラソン大会によく参加しています。

 私も、体を動かすのは嫌いではないし、いつか参加してみたいなぁという気持ちはあったのですが、なかなか勇気が出ませんでした。でも、今回のは、女性限定で、しかも距離は5キロだときいたので、この機会に挑戦してみました!!

 駒ヶ根訓練所以来、走るのは約8か月ぶり。とりあえず、仕事帰りに公園のジョギングコースを走ってみました。そしたら、走り出してすぐに息が切れる。体が重い。1周3キロのコースをゆっくり一周して、ヘロヘロでした。3キロでこれじゃあ、5キロ完走できるのか??でも、タイムは別に関係ないし、つらかったら歩いていいんだから!とりあえず楽しもう!という気持ちで挑むことにしました。

 当日、スタート付近はお祭りさわぎ。バイオテラピアも行われています。だんだんテンションが上がってきました。
スタート地点前のステージ。準備体操がわりのバイオテラピア。

ストレッチ中。キャップとTシャツは、参加者おそろい。

ウォーミングアップ中。ピンク、ピンク、ピンク!!

 そして、スタート!時間にルーズなエクアドルなのに、ほぼ9時ぴったりです!練習不足の超ビギナーなので、後ろのほうかと思いきや、いきなり歩いている人がたくさんいます。そっか、それぞれのやり方で楽しめばいいんだね。

 反対側にトップランナーが見えれば、走りながら応援したり、折り返したら、誰かが「折り返しだー!がんばろー!!」「ビバ・ムヘール(女性、最高)!!」って叫んだり、すべての参加者がマラソンを楽しんでいました。

 残りあと1キロになってからが、と~っても辛かったけど、なんとか完走できました。しかも、一度も歩かずに!!やったね!!!

 もうちょっと練習を重ねたら、また挑戦してみたいです。そして、帰国までには、10キロ、ハーフも走れたら・・・いいなぁ。どうかな??