今日は、3年目の学生たちを対象にした、研修会を開きました。3年目の学生は、1年間キト郊外の小学校で働いています。2年目の学生たちを先生のタマゴだとすると、この学生たちは、先生のヒヨコってところでしょうか。朝7時15分から昼3時までと、今までで一番ハードなスケジュールで、自分の担当が終わったら、どっと睡魔が襲ってくるほどでした。
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定番となりつつある、「三角形の面積を求めよう」 公式を最初に教えなくっても、長方形、正方形、平行四辺形の面積の公式を使って、 求められるんだよ。 |
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「繰り上がり、繰り下がりのある計算の仕方を考えよう」 筆算はできても、具体物を使って考えた経験がないので、彼らにとっては、なかなか難しいのです。 |
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「自信がないから、発表したくない~。」と言っていた女の子。 でも、上手に発表できました。 |
今回の研修会での私の担当コマは、今までと変わらず、授業観察を通して気づいたこと、そして教材の紹介です。最初のほうについては、10月ごろにパワーポイントを作ったまま、ずっと同じことを話していたのですが、今回は先生のヒヨコたちが対象だということで、少し追加をしてみました。追加事項は・・・
1.時間を守ること
先生は、子ども達のお手本にならなきゃいけません。子ども達は、先生のすることをよく見ています。時間もその1つです。例えば・・・先日、郊外の小学校を見学させてもらったときのことです。休み時間に、校長先生がコーヒーとサンドイッチをごちそうしてくれ、いろいろおしゃべりしました。ところが、この学校の休み時間は10時から10時半だというのに、おしゃべり好きな校長先生の話は止まらず、結局11時までおしゃべりをしていました!!
子ども達は「先生、授業始めようよ!」とは絶対に言いません。子どもは、1日中遊んでいたいんだから。先生が始めなきゃいけません。
2.子ども達と遊びましょう
私はこれまで、いくつも学校を見学してきましたが、休み時間に先生が子ども達と遊んでいる姿を、一度も見たことがありません。子ども達を遊ぶことは、子ども達との関係を築くのにとっても大切です。このことは、今まで先生達に伝えたことはありません。彼らは年上だから、無理だと思ったからです。でも、あなたたちは若いんだから、遊べます!!ぜひ子ども達と思いっきり遊んでください。
3.携帯電話は教室に持っていかない
教室では、子ども達と授業が最優先です。携帯電話が鳴って、それにこたえていたら、子ども達はその会話が終わるまで待っていなきゃいけません。あなたたちは、プロなんだから、自覚を持って。教室の中では、彼氏よりダンナさんより、子ども達を優先してあげてください。
というようなことをしゃべりました。つまり、この3つが、今のエクアドルの小学校教員の現状なのです。特に3は、小学校の先生だけではありません。会議中でも、誰かと真面目な話をしていても、携帯電話が鳴ればすぐに出てしまいます。マナーモード機能を、知らないの??そして、その相手はたいてい家族!大事な話があるときは、途中で邪魔されないために、目の前にいても携帯で話したほうがいいのかもしれません。
この私の話の後、カルメンが持っている、JICAが作った「日本の小学校の1日」というビデオを見ました。私にとっては、ごく普通の小学校と、普通の先生の1日なのですが、これはエクアドル人には衝撃みたいです。ものすごく真剣な表情で見ていました。見終わった後の学生の感想では、
「日本の子ども達はとっても行儀がいい。ちゃんとルールも守られている。」
「日本の先生達は、本当によく働いている。夜まで授業の準備をしている。」
「エクアドルでは、先生は教室内の権力者だけど、日本の先生たちは、子どもの目線で話している。」
などなど。気づいて欲しいところに、ちゃんと気づいてくれました。
彼らは、約7か月の現場経験があるため、私が普段授業をしている2年目の学生より、冷静に受け止められるはずです。そして、何十年もエクアドルのやりかたで教員をしてきた先生たちよりも、柔軟に受け止められるはずです。たった1日で、どこまで伝えられたかわからないけど、来週から少しでも実践してくれるといいなぁ。がんばれ、未来の先生たち!!