2013年5月23日木曜日

考えることは楽しい!

 今日は、先週行った研修会に来てくれた、小学校インターン中の学生たちのために、私が研究授業をしました。今回は、7年生(日本の6年生)で、「円の面積の求め方を考えよう」です。

 エクアドルに来た当初から、面積の教え方がすーーーっごく気になって、教材を作ったり模擬授業をしたりしてきました。エクアドルの算数の教科書では、

 円の面積を求める公式・・・半径×半径×円周率

 以上!先生が公式を先に教えて、それからは練習問題のみ。どうしてその公式になるのか、という説明は1つもないのです。これが、ほかの図形も同じです。さらには、先生によっては、どうしてその公式になるのか知らないんです。

 付属小学校の子ども達を借りて研究授業をするときは、そのクラスの進度に合わせるので、毎回おもしろい題材にあたるとは限りません。今回は、運よく面積に当たりました。やったね!!

 でも、指導案を作って、教材を準備しながら、やっぱり不安になります。この子たちは、三角形や台形も、公式だけ習ってきた子たち。等積変形して考えるなんて、できるかなぁ?誰もできなかったら、どうやって授業をまとめたらいいんだろう?さらに、日本でも教えたことのない6年生の分野、子どもの反応が予想できません。ドキドキドキ・・・。

 当日は、思ったよりリラックスして始めることができました。

「今日は、円の面積を求めるよ。私は教えないよ。みんなが考えるんだよ。」
「この円を、今まで習った形に変えたら、求められるかなぁ?どうすればいいと思う?」

 しばらく沈黙・・・。すると、1人の男の子が、

「ピザみたいに切ればいいんじゃない?!」

 やったぁ!一番欲しかった一言が出ました!!

「なるほど、ピザみたいに切れば、違う形にできそう?」
「うん、うん。」
「じゃあ、今からみんなで考えてみよう!」

 本当は、個人で考えてほしいところだけど、おそらく無理なので、4人グループで話し合ってもいいことにしました。こういう活動、子ども達はやっぱり生き生きしています。やっぱり、子ども達は考えることが好きなんだよね。でも、各グループ見回ってみると、図形は作れても、式を求めるところまではたどりつかない様子。やはり、無理か。一番進んだグループの男の子に途中まで式を発表してもらい、そこからはみんなで考えるというまとめに、急きょ変更。
どうしたら、円をほかの形に変えることができるかな?
今回の参観者は84名!過去最高人数です。でも、気にならなくなりました。

どうやってならべればいいかな?

このクラスの子ども達、図形はきちんと定規を使って描きます。
素晴らしい!!

左の男性は、担任のゴンザロ先生。
一緒に見回ってくれました。
今日の黒板。
円が、長方形や台形に変身しました!!

 多少強引なところはあったかもしれないけど、最後はみんな納得の表情をしていたような気がします。さすが7年生、私のつたないスペイン語もちゃんと理解してくれて、頼もしい子たちです。このクラスの担任のゴンザロ先生は、力のある先生なので、さすが鍛えられています。

 授業が終わって、学生たちの意見交換では、やはり考えたこともない教え方だったようで、衝撃を受けていた様子でした。経験がある学生たちなので、授業を見ながらいろいろ考えてくれたみたいでした。そう、これが算数の楽しさなんだよ!公式を覚えるだけじゃなくって、どうしてそうなるのか、ああでもないこうでもないと考えるのが楽しいんだよ!

 最後に、私から

「エクアドルと日本では、教え方は違うけど、私は、日本の子ども達のほうがエクアドルの子ども達より賢いとは思わないよ。これは、先生次第。エクアドルだって、先生が子ども達に考えさせるような授業をすれば、子ども達は考えるようになるよ。頑張って!」

と伝えました。先生のヒヨコたち、期待してるよ!

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