2012年11月12日月曜日

危機感のない学生たち

 先週から、学生に「教材の使い方」についての授業をしています。先日の研修会で先輩隊員が発表した教材を、カルメンが気に入り、ぜひこれを使って授業をして、と頼まれたのです。なので、1週間ほどせっせと、教材(自分の分と学生たちの分6セット)を作り、先週の金曜日から始めました。

 金曜日は、教材の紹介に重点を置いて一人でベラベラとしゃべったのですが、学生の反応も悪いし、「これは、板書はどうやるの?」という質問が出たので、今日は模擬授業形式で行うことにしました。

 今日の内容は2年生。フォミックスという薄いスポンジみたいな素材で作った算数タイルを使って、繰り上がり、繰り下がりの計算を学習します。

 最初の2ケタ+2ケタ、2ケタ-2ケタの計算こそ、楽しそうに授業に参加していたのですが、最後の「502-189」の計算では、「カズノ!私たち、たし算はわかるんだけど引き算はできないよー。」と言い出しました。各グループに、算数タイルを配っているのにもかかわらず、それを操作してどうやって計算すればいいのかわからないらしいのです!ええっ?!と思いつつ、「ほら、2-9はできないから、十の位から持ってきたいんだけど、十の位は0だから、百の位から十の位におろして、それをまた一の位に持って行って・・・」と説明してあげると、「ああ、なるほど!」という反応なのですが、「じゃあ、今やったことを自分の言葉で説明できるように、ノートに書いてみて」というと、手が止まってしまいます。3年前、本物の2年生を教えたときの子どもの反応と全く一緒!!どういうことだ??

 彼らは、筆算にすれば、ちゃんと計算できるのです。でも、やり方を覚えているだけなので、「どうしてそうなるのか」を説明することはできないのです。あまりのできなさぶりに、カルメンは、「もう1問練習問題!」と言い、授業時間ギリギリまで使って練習しました。それでも、「前で説明してくれる人!」というと、2、3人しか手が挙がらない。自信がないのです。
今日は4人グループで。

わからないーと言いつつ頑張って考えていました。

彼女は、理解できなかったために、カルメンから指名され、黒板で解くことに。
がんばれー!!

 そして、休み時間をはさんで次のクラスへ。このクラスは、まだ教材の使い方を教えるまで進んでいないので、今日は私が前に授業した「板書計画」を使った学生たちの模擬授業でした。学生の授業だから、つっこみどころ満載ですが、全部言ってもまだわからないと思うので、どうしても気になるところだけを最後に指摘していました。

 そのうち、カルメンが「カズノ、会議があるみたいだから、ちょっと抜けるね。」と言って、出て行ってしまいました。授業中になんで会議???これまたつっこみたいところですが、まあいっか、と思って学生の発表を見ていました。

 すると・・・平行四辺形の周りの辺の長さを求める問題で、授業者の学生が示した解答例が、面積を求める方法になっていました。こりゃ、辺の長さと面積を混同してるな、まあ、誰かが指摘するだろう・・・と最後まで見ていたのですが、誰も何も言わない。1人だけ「なんかおかしいんじゃない?」と言っていましたが、授業者は自信満々。最後に私が、「本当にこれでいいの?」と全体に問いかけたけど、「ノー」というのは1人だけ・・・。これと同じことが、次のグループの発表後にも起こりました。このクラス、大丈夫か??

 あんまりびっくりして、さらに危機感のない学生の態度に腹が立ち、「先生の責任は重大だよ。先生が間違って教えたら、子ども達は大人になるまでずっと間違えたまま覚えているんだからね!!!」でも、わたしのつたない言葉で全部伝わったのかはわかりません。

 学生たち、基本的には素直でかわいいのですが、とにかく授業態度が悪い。今日は、私が授業の途中で5分休憩をあげたのですが、5分たって戻ってきたのは半分だけ。腹が立ったので、半分の学生で授業を始めました。さらに、こっそりお菓子を食べる学生を見つけ「さっき、5分休憩をあげたでしょ!おやつを食べる時間もあったんだから、今は食べないで!」と注意し、計算の仕方を考えているときに化粧を始めた学生には、「まだ解けてないでしょ。化粧は後で!」と言いました。笑顔で。今日は頑張ったよ、私!!

 日本の大学の教職課程は、なんだか難しい理論ばかりで、実践的なことはほとんど学べませんでした。だから、この学生たちの授業は、とっても貴重だと思うのです。なのに、自分の学力が不足していることにも自覚を持たず、化粧したりお菓子食べたり、イヤホンで音楽を聴いたり、携帯をいじったり、雑誌を読んだり・・・スペイン語がベラベラだったら、「あんたたち、先生の仕事、なめてんじゃないよ!」って言ってやるのに~!!

 でもこの学生の態度は、教員側にも責任があるはずです。それを黙認してきたわけなんだから。そして、間違って理解しているのも、子どものころ間違って教えられたのかも。

 エクアドルの教育、ほんとに課題がいっぱいです。私1人の力で全部変えるのは、あと1年4か月しかないので無理。まずはやっぱり、この未来の先生達をどうにかしたいなぁ。

2 件のコメント:

  1. そんなに授業のたいどがひどいんですか?
    今度授業のたいどがひどかったら横川小みたいに立たせたらいいんじゃないんですか?

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    1. 龍太くん
      コメントありがとう。そうか、その手があったか!!「日本の小学校では、授業を聞いていない子どもは立たせるんだよ!」って言ってね(笑)今度「日本の子どもからこんな意見がきたよ」って言ってみるね。

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