今日は、初めて学生の前で模擬授業をしました。カルメンからの依頼は、「板書計画について、学生に説明して」というものでした。でも、黒板の使い方を説明するだけでは、学生には理解できないと思ったので、「授業をしながら説明してもいい?」と言ったら、「もちろん!」カルメンは、私がやりたいことには全く文句を言わず、信頼してくれているので、うれしいです。ただ、「授業は3コマ(2時間半)、模擬授業は2つやって」とのこと。2つか・・・。
いろいろ考えた末、1つは駒ヶ根訓練所のスペイン語の授業でもやった、「三角形の面積の求め方(5年生)」、もう1つは「九九を使って考えよう(2年生)」の単元にしました。せっかくなので、問題解決学習ができる単元にしてみようと思って。
当初木曜日にやるはずだったのが、急きょ1日早くなってしまい、準備が間に合わないかと思いましたが、やるしかない!と覚悟を決めて、いざ教室へ!
まずは、2年生のかけ算の学習から。「りんごはいくつあると思う?」と問いかけると、口々に答えを言い出すので、「ちょっと待って!これから、10分間あげます。まずは、自分1人で考えて、ノートに考え方を書いてね。」この自分一人で考える(自力解決)場面、エクアドルの授業では見たことがありません。授業はいつも、わかる子が手を挙げて答え、それ以外の子どもたちは見てるだけ。だから、こういう授業をやってみたかったんです!
そして、それぞれの考え方を発表してもらって、黒板に書いてもらいました。こういうのも、珍しいみたいで、学生たちは生き生きと発表していました。
最後のまとめは・・・わたしの語学力でどこまでできたのかわからないけれど、みんな一生けん命聞いてくれました。
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授業後の板書。黒板が日本より小さいので、ちゃんとおさまるか不安だったけど、うまくいきました! |
1つめの授業が終わったら、カルメンが登場。「どうだった?何か意見はある?」と問いかけると、学生たちが口々に、「カズノはこうしていた。ああしていた。」と意見を言い出しました。今回は、板書についての授業だったので、それ以外のことについては特に言及しなかったのに、学生たちはたくさんの違いに気づいていました。
そして2つめの「三角形の面積の求め方」。これは、以前日本の教え方をカルメンとホルヘに話した時に、「うちの学生はできないんじゃないかなぁ。」と言っていたので、ぜひやってみたかったところです。
まず、長方形と平行四辺形の面積の公式を確認。長方形のほうは自信満々に答えるのに、平行四辺形はちょっと自信なさげ。そして、「この2つの公式を使って、三角形の面積を求めましょう!」
もちろん、彼らは「底辺×高さ÷2」を知っています。でも、それを知らないつもりで考えてごらんっていうのが難しいみたいです。どうしても、公式を基にして考えてしまいます。図を描いてごらん、こうしたら長方形になるでしょ、と個別にヒントをあげたけど、なかなかピンとこないみたいです。10分、いや15分かかるかなぁと予想していたのが、結局20分以上かかりました。それでも、解けた子は半分くらい。
そして、発表。教科書に載っているようなやり方が出て、もうないかな?と思いながら「ほかのやり方は?」と聞いたところ、珍解答続出。面積を求めるのに、向かい合った辺の長さをかけてみたり、勝手に長さを推測して計算していたり。だんだん、本物の5年生の子どもたちを教えている気分になってきてしまいました・・・。
最後に、「公式を教えるだけじゃ、覚えるだけじゃだめなんだよ。なぜそうなるのか、それを考えるのが大事なんだよ。」と念を押して、授業は終わりました。何はともあれ、無事に終わってよかった~!
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授業の様子。久しぶりに先生になりました。 |
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三角形の面積を求める授業の板書。 うれしそうに自分の考えを発表する学生たちは、かわいかったです。 |
オフィスに帰ってから、カルメンと話しました。「学生、ちゃんとわかっていないね。三角形の面積の求め方を説明するのは、日本人でも大人は忘れてしまっているからできない人もいるかもしれないけど、面積を求めるのに向かい合った辺をかけたり、問題にない長さを使って計算したり・・・。」「そうなの、そこが問題なの。」とカルメンは困った顔で言いました。
まだ学生なんだから、と思うかもしれませんが、彼女たちは来年1年間は、郊外の小学校で教育実習をするのです。教員として働き始めるのです。このままでは、間違って理解したまま、子ども達に教えてしまう危険性が!!学生がちゃんと理解していない→教員が間違って教える→子どもが間違って覚える・・・恐怖のループです。なんとかここで食い止めないと!
今まで授業見学をしていて、「私だったらああするのに・・・!」とイライラうずうずしていたので、久しぶり(約7か月ぶり!)の授業は楽しかったです。相手は大人だけど、一生懸命に考えたり、うれしそうに発表したりする姿は子どもと変わりません。「なるほど!」「わかった!」の瞬間が大好きです。明日は、違うクラスで授業をします。どんな授業になるのか楽しみです。